Enjoy Running Life - スイスを走る

2018年11月、48歳から海外赴任地のスイス・ジュネーブにて本格的に開始したランニングの記録

着地方法・走法 - フォアフット、ミッドフット、ヒールストライク(カカト着地)

 東京オリンピック2020のマラソンが終了し、キプチョゲ選手や大迫選手、一山選手が活躍したことから、フォアフット着地があらためて注目されています。

 

ただ、このフォアフット着地ですが、無理して真似ようとすると怪我につながってしまいます。

 

ここで、着地方法についての情報をまとめてみようと思います。

 

着地方法には、大きく分けて、フォアフット、ミッドフット、ヒールストライクの3種類があります。

 

フォアフットは前足部(足裏の前方1/3ぐらいの部分)、ミッドフットは足裏全体、ヒールストライクはカカトで着地します。

 

ただ、フォアフットは、前足部だけで着地し、前足部だけで蹴り出していく走法ではありません。

 

ここを誤解して、つま先だけで着地して、そのままカカトを地面に着けずに走ればいいのね、という感じで、足先を地面に向けて、つま先立ちのような走り方で、フォアフットを真似る方がおられるのですが、これが怪我のもとになりやすいです。

 

こうすることで、足首や中足骨、スネ(シンスプリント)などを痛めることになってしまいます。

 

フォアフット走法は、カカトを着けないということに注力するものではないです。

 

実際は、前足部で着地後、一瞬、カカトが地面に着きます(最近の厚底シューズによってはカカトが着いていないように見えるものもあるのですが、もし、裸足や薄底シューズで走っていれば、身体の構造上、一瞬、地面に着くような形です)。

 

英語圏では、これを、Kiss the ground(地面にキスする)と表現されることがあります。

 

f:id:tetchiba:20210811225727p:plainf:id:tetchiba:20210811225439p:plain

How to Run Like ELIUD KIPCHOGE - Running Technique Analysis

 

フォアフットの本質は、前傾姿勢を取り、足首を柔らかく固定(力みを取った状態)した上で、前足部を地面に置くような動作で、そして地面を足裏で掻かずに、アキレス腱という太いバネを使って、地面からの反発をもらって身体を前方に押し出すということです。

 

着地時にブレーキがかかりにくいので、脚への負担を減らし、怪我のリスクが低い走法です。

 

ただし、アキレス腱をよく使うので、アキレス腱やふくらはぎへの負担が大きい点は注意が必要です。

 

また、歩いているときの脚の進め方や着地方法とは大きく異なるため、身に付けるのに時間がかかります。

 

f:id:tetchiba:20210811225930j:plain

 

次に、ヒールストライク(リアフットとも呼ばれています)ですが、カカトから着地した後、足裏前方に重心を移していって蹴り出すものです。

 

多くの日本人のランナーがこの走法と言われています。

 

歩いているときはカカト着地になることがほとんどだと思いますが、この延長線上にヒールストライクがある感じです。

 

片脚が前方にきたときに、膝から先も前に繰り出すと、自然とカカトから着地します。

 

特に、上半身を地面に垂直にしたり、猫背(頭が前に出て、骨盤が後方に傾く)で走ると、カカト着地になりやすいです。

 

日本人の多くが前傾姿勢ではなく、垂直姿勢で走るので、カカト着地になるという構造です。

 

また、無理にストライドを伸ばそうとすると、脚を前に振り出そうという動きにつながるので、カカト着地になりやすいです。

 

この着地方法は筋力が弱い方でも比較的スムーズに走れる走法です。

 

ただ、身体の重心よりも前方で着地するため、カカトで地面を突き刺すような感じになり着地時に強いブレーキがかかりやすく、膝や腰への衝撃が大きく、怪我につながることが多いです。

 

また、カカトからアキレス腱が近いことから、アキレス腱のバネをうまく使うことが難しいです。

 

ミッドフットは、フォアフットとヒールストライクの間で、足裏全体が地面と平行な形で着地します。

 

メリット・デメリットはフォアフットとヒールストライクの間になります。

 

フォアフット走法の習得と重心位置について | 歩行と姿勢の分析を活用した治療家のための専門サイト【医療従事者運営】

 

各着地方法・走法の特徴や違いがわかったところで、今、注目されているフォアフットを身につけるにはどうすればいいのか。

 

まず、重要な点は、前傾姿勢をしっかりと取るということです。

 

しかも、その前傾姿勢というのは、腰のあたりを折り曲げる(お辞儀する)のではなく、身体全体を前方に傾ける、身体全体を一本の棒のように考えて足首あたりから前方に傾けると表現すると少しわかりやすいかもしれません。

 

そうすると、自然と前へ身体の重心が傾くため、転けないためには、前方に脚を出すことになります。

 

Eliud+Kipchoge.jpg

How Running Differs on the Curved Treadmill — Unified

 

そして、その際、股関節は動かして脚を前に出すのですが、膝が前に出る感じで、膝から先は力を抜いて、膝より先は前に振り出さないことが大切です。

 

膝から下がぶらんと地面に垂直に垂れ下がっているイメージです。

 

更に、つま先を地面の方向に向けようとはしないことも大切です。

 

足首は余計な力はかけず、スネやふくらはぎとの角度を維持した状態。

 

そうすると、自然と、自分の重心(おへそあたり)の真下付近で、ミッドフットの着地ができるようになります。

 

そうして、この状態で、スピードを上げていく、つまり、前傾角度を更に深めていくと、ミッドフットからフォアフットに寄っていきます。

 

この前傾角度を深めた状態をキープして走るには、前方に出した重い頭部を支えつつ、身体を腰あたりで折れ曲げずに一直線に維持する、体幹の強さが必要になります。

 

なので、フォアフット走法への道には、脚の筋力増強よりも、体幹を鍛えることが先決です。

 

フォアフット走法の習得と重心位置について | 歩行と姿勢の分析を活用した治療家のための専門サイト【医療従事者運営】

 

そして、股関節を効率よく(足腰の筋力だけで動かすのではなく)、大きく動かすためには、上半身をうまく使う必要があります。

 

上半身と下半身を逆に回旋させるイメージが大事になってきます。

 

上半身の胸あたりを意識して回すことによって下半身(実際はみぞおちあたりから下)がその逆方向に回りやすくなり、股関節部分から片脚を前に大きく出すことが容易になります。

 

そのため、ストライドが効率的に広がります。

 

次に、上半身(胸周り)を効率よく回旋させるためには、腕振りが重要になってきます。

 

腕は前方後方にまっすぐ振るものだと考えられている方が多いですが、上半身を回旋するための腕振りは、その回旋に沿った形となるため、前方後方にまっすぐというよりは、上半身の動きにまとわりつくイメージです。

 

そして、その腕の動きを効率的に行うためには、肘から先を伸ばすよりも、肘を90度以内(できれば60度ぐらい)にコンパクトに折り曲げることが必要です。

 

その方が動かしやすいですよね。

 

動かしやすくなるということは腕振りが速くなり、上半身の回旋が速くなり、下半身の回旋が速くなり、股関節が速く動き、これらが連動的に動くことによって、結果的に効率的にピッチを上げることができます。 

 

走るスピードは、ピッチ X ストライドなので、いずれか、あるいはいずれも大きくなれば、スピードは速くなります。

 

坂道でのジョギングやダッシュ、流し・ウィンドスプリントのトレーニングのときには、これらを意識したり、身につけたりしやすいかと思います。

 

坂道は上り・下りとも前傾姿勢の意識を身につけることができますし、上りは自然とフォアフットになりやすいので、フォアフットの着地感を身につけることができます。

 

下りはコンパクトな腕振りによるピッチ数を上げる意識を身につけることができます。

 

同時に、下りでは、膝から下の力を抜いても股関節から脚全体が前に出やすいので、力まずストライドを拡げる練習にもなります。

 

また、流し・ウィンドスプリントのときには、上半身と下半身の捻転・回旋を意識して、リラックスしつつも、ダイナミックなフォームで、前傾姿勢を深めることによって、ストライドを拡げるトレーニングになります。

 

いずれにせよ、フォアフットはフォアフットにしようという意識よりも、上記の様々なポイントを実現していったら、結果的にフォアフットになった、という流れの方が、身体に優しく、怪我の防止につながると思います。

 

 

私が以下の記事で箇条書きで挙げている項目は、まさに、上記のフォアフット走法のやり方に沿っているものが多いです。

 

tetchiba.hatenablog.com

 

 

ただし、フォアフットでなくて、ヒールストライクでも速く、怪我なく走る方もおられます。

 

最終的には、その方の身体の骨格や筋肉の構造によって(怪我せずにその方にとって効率的な)着地方法や走法は変わってくるので、そのあたりの見極めが必要かなと思います。

 

型だけ無理に真似ようとすると怪我につながりかねないので、本質的なこと(自分にとって効率的な走り方)の実現に注力し、それが実現しているならば、その表面の形(フォアフットだろうが、ヒールストライクだろうが)にこだわらないという意識も大切かと思います。

 

今の私は、ジョギングなど比較的遅いペースのときは、ミッドフット、インターバル走やダッシュなど比較的速いペースのときは、フォアフット、フルマラソンのときには、その中間・両方、という感じです。

 

遅いペースのとき(速いペースのときのためのフォーム練習の目的のときは除く)に無理矢理、フォアフットにしようという考えはないです。

 

遅いペースのときは、ミッドフットの方が自分にとって自然で効率的と感じるからです(怪我も防ぐことができます)。

 

長文になりましたが、上記参考になれば幸いです。