2022年10月2日に開催された
AbbottWMM Wanda Age Group World Championships (世界年代別選手権)
についてのレースのレポートです。
AbbottWMM Wanda Age Group World Championships (世界年代別選手権)
についてはこちらをご覧ください。
ロンドンマラソン・エキスポ、
世界年代別選手権ウェルカム・レセプション
についてはこちらをご覧ください。
「【レースレポ①】2022/10/2 ロンドンマラソン兼年代別世界選手権 スタートまで」
についてはこちらをご覧ください。
私のフルマラソンのベストは、約1年前に出した、2時間44分30秒なのですが、
公認レースであるものの、Covid-19パンデミック傘下での開催であったため公認コースではなく、自宅近所のマイコースを走るものでした。
そのため、本当の(公認コースでの)自分のベストと言えるものは、公認コースで走った、2時間56分44秒(初フルマラソン)でした。
なので、今回の目標は最低でも2時間56分44秒を抜くこと。
調子からいくと、足底腱膜炎の影響もあり、2時間45分を切るペース(3'54"/kmペース)は難しいと考えていたので、ターゲットタイムは2時間50分切り、つまりサブエガ。
サブエガするためには、4'00"/kmペースなのですが、実際のフルマラソンでは42.195kmよりも長く走ることが多いため、もう少し速いペースを維持する必要があります。
なので、今回の私の目標ペースは3'58"/kmペースぐらい、
5kmあたりで19:50ぐらい。
5kmごとで20分を少し切っていけばいいという感じです。
レース当日の気温はスタート時15度、天気は曇りなので、気温補正も考慮しなくて、このターゲットペースを狙っていってもいいと判断(後半は少し晴れ間が出て暑くなりましたが)。
レースシューズは直前に購入したNike ZoomX Vaporfly Next% 2。
以下タイム表示は公式タイム/Garminタイム
(図表はGarminと連携しているStravaのもの)
(公式タイムは42.195kmですが、Garminでは42.79kmを走ったことになっていますので、ズレがあります)
また、レース中の写真は公式のものを購入しました!
(180枚以上ありました。)
楽しい時、苦しい時含め良い写真を撮ってもらえたので感謝です。
■スタート - 5 km 19:09/19:09
エリートランナーの15秒後ぐらいにスタート。
ついにロンドンマラソンをスタートできた!
という喜びでガッツボーズをしながらコースに出ていきました。
先の日曜日に走ったロンドンマラソン。
— Tet - スイスで走る、歌う弁理士 (@tetchiba) 2022年10月5日
妻がBBCの映像を録画していてくれました。
蛍光イエローのシャツが少し映っています。コースの真ん中の看板の横あたり。エリート選手のスタート後、15秒後ぐらいでスタートしています。
ウォーリーをさがせ!をお楽しみください。 pic.twitter.com/CCGU9UHSe4
スタートしてからはついつい飛ばしてしまいがち。
今回は足底・太ももを痛めていたこともあって、前日の消炎剤が効いているものの、違和感はあったので、様子見しながら最初の500mをキロ4分を少し超えるぐらいのペースで入りました。
今思えば、このゆっくりスタートが良かったのかも。
故障の具合を冷静に見ることができたこと(ターゲットペースで行けそうな感覚を掴めた)、
直前に購入したVaporflyの走り方を学べたこと、
呼吸を整えることができたからです。
これらの感覚を掴めたので、500mを過ぎたあたりから少しずつターゲットペース(3'58"/kmペース)にビルドアップ。
ところが、スタートしてから最初の3kmぐらいは少し上り基調にもかかわらず、手元のGarminでは、3'58"/km, 3'53"/km, 3'53"/km。
それでも呼吸も足腰も楽な状態。
ジョギングしているような感覚。
これがVaporの威力なのか!
ペースを落とそうかとも思ったのですが、この後、4km〜5kmは一気に30mを下り、その後もしばらくは下り基調なので、自分の身体の声を聞きながら、無理しない範囲で、流れ(Vaporfly)に任せて走ってみようと。
(ただし、一気の下りの部分は飛ばし過ぎないように(前腿に負担をかけないように)細心の注意を払いながら走りました。)
結果、4kmから7kmまでのラップは、3分50秒、3分40秒を切るタイムに。
5kmまでの平均ペースは、3'50"/km。
ターゲットペース(3'58"/km)どころか、非公認コースでの自己ベストの時の平均ペース(3’54"/km)よりもかなり速いペース。
■5km - 10 km 19:19/19:10(トータル 38:28/38:19)
ロンドンマラソンのコースには沢山のバンプ(車を減速させるための隆起)があります。
日本から来た方々は走りにくいとおっしゃっていました。
私は普段、同じようにバンプがあるところも走っているので、それほど気にはなりませんでしたが、それでも、躓かないように気をつけました。
10km時点での平均ペースが手元のGarminで3'50"/kmペースを切った状態(公式タイムでも3'51"/kmペースぐらい)。
普段練習している自分のMペース(3'53"/km)よりも速いペース。
大丈夫かな、後でしっぺ返しを喰らうのでは、とかなり心配したのですが、呼吸も足腰もかなり楽で、違和感があった足底や太もももこのペースを維持するのは問題ない感じ。
この辺りで今日はかなり行けるんじゃないかなと思いました。
ところで、ロンドンマラソンの給水は、330mlのペットボトルをボランティアの方から手渡しで受けるかたち。
これはコップを取るよりも減速しなくて良いので、とても良かったです。
この時点では暑さはないものの、念のため、ほぼ全ての給水ポイントでペットボトルを受け取り、少し口に含ませて走りました。
水の他は、スポーツドリンクが3カ所ぐらいありましたが、こちらは紙コップ形式で(ただし、こちらも手渡し)、少し減速して受け取る必要がありました。
前半・中盤の2カ所で受け取りましたが、後半は受け取らずに走りに集中しました。
自分でFlipbeltに入れて持っていたのはモルテンのジェル2つ。
15km、30kmを過ぎたところで摂取しました。
終盤40km付近で、手足が痺れたことからすると、もう一つぐらい持っていて、35kmぐらいで摂取しても良かったかも。
ただ、手足が痺れてきた時はお腹は空いてなくて、むしろ、30kmで摂取したモルテンのジェルが食道を逆流するような感覚もあったので、これ以上、追加で胃に放り込むと吐きそうになるという感じだったので、2個持つか、3個持つかは難しいところですね。
飲み物なら大丈夫かもしれないので、配られていた、後半のスポーツドリンクを取っても良かったかもしれません。
■10km - 15 km 19:46/19:23(トータル 58:14/57:41)
10kmを過ぎたところで、英国の快速帆船である、カティーサーク(Cutty Sark)が展示されている横を走り抜けますが、このあたりはかなり応援の方がおられました。
まだまだ余裕がありますね!
私の前を走っていたランナーが両手を横に広げて、手先をひょいひょいと上に持ち上げると、周囲の観客の方の反応がめちゃくちゃ大きくなって、大きな声援も飛びました。
まだ余裕があったので、せっかくなので、私も真似してみようと同じことをしてみたら、観客の方がすごく盛り上がってくれて、そのエネルギーをもらうことができました。
このエネルギーはとても強くて、少々の疲れも吹っ飛ぶ感じでしたね。
15kmあたりのところで、石畳の区間があり、日本から来たランナーの方は走りにくいとおっしゃっていたのですが、私は普段、もっとガタガタな石畳のところを走っていることもあるので、問題ない感じで進めることができました。
このあたりヨーロッパに住んでいる強みを少し活かせたのかなと思います。
■15km - 20 km 19:47/19:35(トータル 1:18:01/1:17:16)
ここまで平均で3'51"/km〜3'52"/kmで進んできたのですが、流石にこのペースを維持するのには少し疲れも出てきて、また、カーブが多い区間でもあるので、後半の失速を回避するためには少しペースを落ち着けようと。
これまでのフルマラソン(と言っても5回しか経験がないのですが)では、かなり頻繁に手元のGarminのリアルタイムのラップタイムや平均タイム、ゴール予想タイムを見ながら走っていたのですが、今回はあまりGarminを見ずに、自分の感覚を大事にしながら走りました。
また、今春、サブ3も失敗したチューリッヒマラソンやジュネーブマラソンでは、特定の(同じぐらいのペースで走る)集団を見つけようと少し躍起になって、その集団で走っていかないといけないという気持ちが強く、それが悪影響になっていたような気がします。
今回は、特定の集団を見つけようとはせず、自分のペース維持を一番に考えて、自分が少ししんどくなった時には、周囲のランナーの数も多いので、その際、そこにいたランナーについていく、というような感じで進めました。
これらも結果的には良かったのかと。
■20km - 25 km 19:19/19:24(トータル 1:37:20/1:36:40)
20kmのところで、タワーブリッジを渡るのですが、ここもかなりの観客の方が詰めかけてくれていました。
ここでも、両手を横に広げて、手先を上に持ち上げ、盛り上がって!ポーズしたり、笑顔でガッツポーズをしてました。
多数の観客の方が反応してくれて、その声援は今でも耳に残ってるぐらいです。
20kmを過ぎてもまだ、こういうことをする余裕がありました。
今春のチューリッヒマラソンやジュネーブマラソンではかなり早い段階で辛くなって、それ以降は地獄のようなマラソンになってしまいましたが、今回は違う!
これがとても嬉しくて、フルマラソンをこんなに楽しく走れてる!という気持ちで、かなりニコニコしながら走っていました。
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ハーフ通過が、1時間22分5秒(公式タイム)。
ここまでの公式タイムでの平均ペースは3'54"/km。
(Garminと公式タイムとにトータルで40秒(170mぐらい)のズレが出てきていたので、Garminでの平均ペースは3'52"/kmぐらいでした。)
マイコースですが、2時間44分30秒を出した時のハーフ通過タイム1時間22分10秒よりも速いタイム。
この時、これはワンチャン、マイコースベストを上回ることができるかもとも思いました。
22km付近では、35km付近を走っている方とスライドする区間があるのですが、我々よりも40分早くスタートしたエリート女子のトップの方々とすれ違いました。
めちゃ速かった!
そして、少し遅れて、2時間21分42秒(女子フルマラソンの日本歴代8位の記録)で日本人最高の9位に入った細田あい(エディオン)選手とすれ違いました。
顔は少し苦しそうでしたが、小さな身体でとても軽やかな走りで、思わず、がんばれ〜と声援を送りました。
■25km - 30 km 19:37/19:22(トータル 1:56:57/1:56:02)
25km過ぎても引き続き、良い感じの平均ペース(公式で3'54"/km、Garminで3'52"/km)を維持。
呼吸も落ち着いていて問題ない感じ。
ところが、30km手前あたりで高層ビル群の中を何度かカーブしながら進むのですが、このあたりで、右足の足底の違和感が少し大きくなり、加えて、右足のふくらはぎが少し攣りそうになりました。
足首を使い過ぎたのかなと。
あまり足を上げずに、少しすり足をイメージしての走り方に切り替えました。
■30km - 35 km 20:15/19:19(トータル 2:17:12/2:15:21)
30kmあたりの高層ビル群のあたりは、ロンドンマラソンの中で大きくGPSがずれるポイントとのこと。
後からGarminの軌跡を見ると、かなりズレていましたね。
なので、この30km〜35kmの区間は、公式タイムとGarminのタイムに1分近くのズレ(240mぐらい)が生じていたようです。
足が攣りかけていて、少しすり足気味に走っていたので、ペースが落ちていると思っていたのですが、Garminではあまりペースが落ちていなくて(むしろ速くなっていた)。
でも、コース上の距離表示とはかなりズレが生じていたので、Garminのゴール予測タイムよりも実際はかなり遅くなるなと思い始めました。
(実際のところ、公式タイムとは既に1分50秒ぐらいのズレが生じています。)
■35km - 40 km 21:03/20:31(トータル 2:38:15/2:35:52)
この5kmの区間は本当にキツかった。
足底の痛みとふくらはぎのつりかけ状態。
更には、薬の効果が切れてきたのか、それとも足攣り防止ですり足的な走り方に切り替えたためか、太ももの前面に張りが出てきて、フォームが少し崩れてきました。
(この太ももの張り、筋肉痛は翌日以降、3日間も続きました。)
おまけに、手先に痺れも。
加えて、晴れ間が出てきて、少し暑さを感じるように。
また、川沿いで風も出てきたので、できるだけ大きな人の後ろについて風避けに使わせていただきました。
こんな感じでこの区間はキロ4分を切れない走りに。
ただ、前半のようにこちらから盛り上げるポーズをしなくても(もうそんな余裕もないし)、50万人とも言われる沿道の大きな声援は続き、その声援に後押しされ、ここで諦めてはダメだ、公認タイムでの自己ベストを達成するんだ、何とか粘れ、粘れ、と自分に言い聞かせていました。
■40km - ゴール 9:40/12:03(トータル 2:47:55)
(Gamin計測だと、42.195kmではなく、42.79km走ったことになっています。)
40kmを超えて、ウェストミンスター寺院とビッグベンが見えてきて、やっとゴールが近い!と思いつつも、ここで気を抜いてしまったらタイムがどんどん落ちてしまう。
(気を抜かなくてもどんどんタイムが落ちてきていました。もう足が動かない。)
手元のGarminで42.195kmを過ぎても(2時間45分ちょっと)、まだゴールまで残り300mぐらいの地点にあるバッキンガム宮殿が見えない。
(実際はまだ600mぐらいあるので。)
"Come on!!"(がんばれ)と自分に声がけ。
まるで競走馬のお尻を叩くような感じ。
もう気力だけで進んでいました。
そして、バッキンガム宮殿の前をまわり、最後の直線に。
本当はここでダッシュをして沢山の観客の前で決めたかったのですが、とてもそんな状態ではなく、とにかくゴールまで足が持てという感じ。
そして、ゴール!
疲れたぁ、というのと、やったぁ、という気持ちが混ざった表情ですね。
ゴール後の写真撮影。
結果は、
- レース:42.195km(ロンドンマラソン / London Marathon 2022 フルマラソン)
- 時間:2時間47分55秒
- 平均ペース:3'59"/km
- シューズ:Nike ZoomX Vaporfly Next% 2(走行距離:約50km)
調子が良かっただけに、後半、ペースが落ちたのが悔やまれますが、
目標としてたサブエガを達成できました!
そして、公認コースでのベストタイム!
今後はこのタイムを自分のパーソナルベストとしていこうかなと思います。
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以下、公式記録:
1時間56分57秒(公式タイム)は、30kmの自己ベストですね!
ロンドンマラソン全体(約42,000人参加)の中では、695位(男女)、670位(男子のみ)、50歳〜54歳のカテゴリで30位。
40歳以上の年代別世界選手権の結果は、239位(男女)、234位(男子のみ)、50歳〜54歳のカテゴリで26位(日本人では1位でした)。
50歳〜54歳のカテゴリでは私よりも上で年代別世界選手権に参加していなかった方はたった4名だったので、やはり、年代別世界選手権は強者が集まっていますね。
年代別世界選手権に参加された方で50歳〜54歳のカテゴリでトップの方は、2時間25分台で走られています。速い!!
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以下、Garminの記録:
ピッチ数は私のフルマラソンにとって理想値。
ストライドが1.5mを超えたのはやはりVaporflyのおかげか。
上下動が6.3cm、上下動比4.4%、平均接地時間199msはかなり良い数値だったかなと思います。
気になるのは左右差ですね。
右足の足底が痛くなり、右足のふくらはぎが攣りかけたのはこのあたりに原因があるのかもしれません。
心拍数は良いところ(閾値の手前あたり)をキープできたのは良かったと思います。
今回のマラソンは呼吸が比較的楽でした。
ゴールしてまずはTCSロンドンマラソンのメダルをかけてもらいました。
そして、続いて、年代別世界選手権のメダル。
めっちゃ嬉しそうですね(笑)
正直、公認コースでの自己ベストを出せて、本当に嬉しかったです!
フィニッシャーバッグをゲット。
中に入っていた公式Tシャツ。
これがメダルです。
そして、レース翌日から3日間、ロンドン市内のNew Balanceのフラッグシップ店に行くと、このロンドンマラソンのメダルの方に、自分の名前とタイムを刻んでもらうことができます。
ということで、翌日の月曜日に帰国前にお店に行ったら長蛇の列。
結局、2時間弱並びました。
でも、その甲斐があって最高の思い出を刻んでもらえました!
2時間弱並んだ甲斐がありました!
— Tet - スイスで走る、歌う弁理士 (@tetchiba) 2022年10月3日
ロンドンマラソンのメダルに名前とタイムを刻んでもらえました!
良いタイムを刻めて良かった! pic.twitter.com/pojDGRBHSf
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今回のレースの総括ですが、軽い足底腱膜炎、直前に突然見舞われた太もも前面・側面の張りにもかかわらず、よく走れたと思いました。
後半から痛み始めたものの、30km近くまで楽しく走ることができました。
これまでの公認コースでのフルマラソンではハーフまでに何かしらトラブルが発生し、それ以降は苦渋の走りがほとんどでしたが、今回は、本当にフルマラソンを楽しむことができました!
シューズは直前になってしまいましたが導入したVaporflyに助けられたと思います。
とても走りやすかった。
周囲の方から、以前、ズームフライフライニットを愛用していたんであればなんでもっと前から履かなかったの?と諭されました。
これからは普段はこの助力を借りずに練習して、Vaporはレースシューズとして大事に使っていこうと思います。
走りの方について、今回かなり意識したのは呼吸でした。
今春、サブ3に失敗したチューリッヒマラソンやジュネーブマラソンでは、何らか身体にトラブルが発生した後、ジョギングぐらいのスピードに落ちた時でも、呼吸がかなりゼーゼーハーハー状態でした(まるで閾値走やインターバル走をやっている時のような感じ)。
今回は、できるだけ最初から、呼吸を落ち着けて、足腰が少し苦しくなってきても、呼吸だけは平然とゆったりできるように、それを常に意識しながら走りました。
結果的に、後半、足腰は疲れてきたものの(痛みも出てきたものの)、呼吸は乱れず、全般的に呼吸が楽だったと思います。
これはかなり大きかったと思います。
今後もこの呼吸の部分を色々調べてもう少し極めてみたいなと思います。
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ということで、レース編はここまで。
レース後に続く。
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